症例1:70代男性
もう一度右手でものが食べられるようになりたい
2か月集中コース
脳出血後右片麻痺
3年
リハビリの詳細
-
【リハビリ前の状況】
発症後、右半身に麻痺が残っていた患者さまです。 右利きだったので、利き手交換を行って食事などはすべて左手に変えました。しかし、「どうしてももう一度右手が使えるようになりたい」という強い想いがありました。そのためまずは、食事(手でつまめるもの)から右手できることを増やしていきましょうと伝え、リハビリをスタート。当初は、口元まで手を持って行こうとしても腕全体が後ろに引かれてしまい、まったく届きませんでした。
-
【リハビリ内容】
「筋力を鍛える」よりは、「正しい動きを覚え直す」ことがポイントになりました。脳卒中後の後遺症である「痙縮」により、運動がワンパターンになっていたため、スタッフが介入して「適切な運動イメージ」の練習からスタート。その後、実際に動かしながら筋肉の使い方を再学習していきました。また、麻痺によって出力が弱くなっていた筋肉は、麻痺の改善に特化した電気刺激機器「アイビス」を用いてアシストしました。「筋肉を鍛える」場合には、負荷量に注意をしながらとにかく運動することが求められます。一方で「正しい動きを覚え直す」には、運動方法がとても重要な鍵を握っています。そのため、「振り返りノート」として動画とテキストで自主トレ方法を共有し、お客さまとご家族の皆さまが正しい運動方法を確認できるようにしました。スタッフとリハビリをする時間よりも、自宅で過ごす時間の方が圧倒的に多いため、「質の高い自主トレ」に重点を置いて効率的に進めました。
-
【リハビリ後の状況】
最終的には、チョコレートを口元まで運んで食べられるまで改善しました。
症例2:80代男性
歩く時に腕が固まってしまう状態を治したい
2か月集中コース
脳梗塞後左片麻痺
3年
リハビリの詳細
-
【リハビリ前の状況】
歩くたびに麻痺側(左手)がぎゅっと固くなることに不快感があり、この症状を改善するためにリハビリを開始しました。
-
【リハビリ内容】
最初は腕や手に問題があると考えていましたが、問題を探っていくと「立ったときの不安定さ」が大きな課題だとわかりました。立っているときに麻痺側の足だけでは支えきれず、全身に力を入れて転倒しないようにしていたことが、腕や手の硬さにつながっていたのです。
そこでリハビリでは、腕にアプローチするのではなく、「麻痺側の足でしっかり立てる状態にすること」、「立っているときのバランスを良くすること」の2点をポイントにしました。 -
【リハビリ後の状況】
今までは歩くときに必ず腕が固っていましたが、リハビリ後は腕の力を抜きながらでも歩けるようになりました。その結果、歩きながら側にあるものに手を伸ばすなど、以前はできなかった動作が可能になりました。
ご利用者様からのコメント
歩くときに勝手に左手に力が入ってしまっていたが、2か月間で以前よりも歩くときに腕が自由に動かせるようになってきました。これまで歩きながら左手で物を取るなんてことは絶対にできませんでしたが、今は少し左手で壁に手を添えたりすることができるようになりました。
症例3:10代男児
踵を床につけて歩けるようになりたい
2か月集中コース
脳性麻痺両下肢麻痺
先天性
リハビリの詳細
-
【リハビリ前の状況】
脳性麻痺という先天性の疾患を患っており、両足に麻痺がありました。脳性麻痺の特徴として、ふくらはぎの筋肉に強い痙縮が出てしまう傾向があります。この方も痙縮の症状が非常に強く、ふくらはぎの筋肉が緊張して常に「爪先立ち」の状態で立って歩いていました。
ご本人とご両親から「少しでも踵が床につきやすくなるようになってほしい」というご要望をいただき、リハビリを開始しました。 -
【リハビリ内容】
リハビリの内容としては主に、ふくらはぎの筋肉を緩めることが中心になりました。一つは担当スタッフによる丁寧なストレッチ、また麻痺を患う患者さま専用に作られたトレッドミルという歩行専用マシンを使ったトレーニング等を実施しました。振り返りノーチについても、自主トレがうまく行えるよう回数や頻度、動画で詳しく説明をしながら毎回実施しました。
-
【リハビリ後の状況】
当初は、分厚いインソール(靴底)を5枚ほど入れても床に踵がつかない状態でしたが、徐々にインソールを取り外しても踵がつくようになり、集中コース終了後には「インソールなし」でも踵が床につくまで状態が改善しました。現在は、スニーカーを履けば踵がしっかり床につくため、学校に行く際にも足の裏全面で床を踏み締めることができている状態だそうです。
ご利用者様からのコメント
リハビリ前に比べてかなり踵を床につくようになりました。また、靴を履けば学校にいく時など踵がしっかり地面についているのでとても歩きやすくなりました。
症例4:70代女性
もっと滑らかに指を動かせるようになりたい
月4回(週一回)コース
脳出血後右片麻痺
1年
リハビリの詳細
-
【リハビリ前の状況】
発症後、右半身に麻痺が残り、特に指の動かしにくさに悩んでいた患者さまです。
この方は、利き手である右手が使いにくくなり、食事や家事が思うように進まなくなっていました。具体的には、指を開閉する動作が苦手で、課題の「輪入れ(動画参照)」も約40秒かかっていました。 -
【リハビリ内容】
まずは指の動きを円滑にするために、勝手に力が入ってしまう「痙縮」という症状の改善に取り組みました。痙縮に対して効果的な方法はいくつかありますが、今回はエビデンスの信頼度が高い「振動刺激」を使用。また、さまざまな課題を行う際には、「アイビス」による電気刺激を活用しました。さらに、「両手でボールを捕まえる課題」を実施。腕全体の動きの改善と、無意識に指の動きが出るように働きかけました。
-
【リハビリ後の状況】
当初40秒かかっていた輪入れ課題は、最終的に約20秒まで改善できました。指の動きも大きな改善が見られ、円滑な開閉運動ができるようになりました。
ご利用者様からのコメント
リハビリを始める前より右手が自由に動かせるようになりました。今ではドアの開け閉めなどこれまでできなかったことがどんどん増えてきてとても嬉しいです。脳と脊髄リハビリ研究センターさんを見つけることができて本当に良かったです。
ご利用者様からのコメント
脳出血を発症してから入院中のリハビリでも右手が使えるまでにはいたらなかったため、退院後は右手を使わないものとして生活してきて日常生活ではほとんど左手を使っていました。しかし、こちらにお世話になってから、もう一度右手が口元まで運べるようになりました。今は朝食のパンなど手で掴めるものは右手で食べられるようになりました。